清しい僕たちは空気清浄機を見て言った

空気清浄機がある空間は、いつも素晴らしい。

電力のない世界で空気清浄機を使う

time 2025/01/03

 
序章:電力の消失と空気の危機

私たちが住むこの世界から、ある日突然「電気」という概念が失われたらどうなるのだろうか。かつてはボタンひとつで照明が灯り、パソコンやスマートフォンが動き、冷暖房も当たり前のように機能していた。電力とは、一瞬で暮らしを便利にしてくれる魔法のような存在だった。しかし、その魔法が一夜にして消滅し、どれだけ探しても再び発電する手段が見つからない――そんな世界を想像してほしい。

電気のない生活を余儀なくされると、人々は改めて火の力に頼り始める。暖を取るためには薪をくべ、食べ物を調理するには焚き火や炭火を使い、夜間の明かりはろうそくやランプのみ。交通も馬車や自転車が主体に戻り、動力がほとんど失われたことで、世界全体が一気に“産業革命以前”の雰囲気を帯びるようになった。

ところが、産業革命以前の世界にはなかった現代特有の要因がある。それは深刻な大気汚染だ。化石燃料を大量に使った文明社会が長く続いたことで、空気中には有害物質が漂い、工場の廃棄物、車両の排ガス、プラスチックの燃焼による化学物質などが地球規模で蓄積されている。さらに、電気というクリーンエネルギーが失われたことで、再び木材や石炭、粗悪なオイルなどを直接燃やす場面が増え、空気の汚染はむしろ悪化の一途をたどった。

かつては電気仕掛けの空気清浄機が室内の空気を巡回し、フィルターやイオン化技術、UV照射などで有害物質を除去してくれていた。しかし、その空気清浄機も電力がなくなればただの箱に過ぎない。フィルターを通すためのファンも動かず、イオン発生もできず、ましてやモニターや自動検知システムなど夢のまた夢だ。大気が汚れているにもかかわらず、室内でさえも汚染物質や花粉、カビの胞子などにさらされている。私たちは電力のない世界で、どうやって空気を守ればいいのだろうか?

本稿では、「電力が完全に使えなくなった世界」において、空気清浄機がどのように再発明・進化していくのかを考察する。ここでいう“空気清浄機”とは、必ずしも箱型の機械を指すわけではない。建築や都市設計、さらには自然を利用した仕組みなど、あらゆる角度から「空気をきれいに保つシステム」を検討していく物語である。

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