清しい僕たちは空気清浄機を見て言った

空気清浄機がある空間は、いつも素晴らしい。

空気清浄機の必要性

time 2025/01/03

空気清浄機の必要性――なぜ空気を浄化しなければならないのか

電力が消えた世界では、まず人々は日々の生活をどう成り立たせるかに苦心するだろう。灯り、暖房、調理、通信、輸送――あらゆるものが不便になり、混乱は必至だ。その混乱のなかで、一見「贅沢品」に思われがちな空気清浄機は後回しにされがちかもしれない。だが、実際にはそれ以上に深刻な問題が起こりうる。それは、人間の健康を脅かす空気汚染の悪化である。

もともと産業が発達した現代社会では、大気中に多種多様な有害物質が漂っている。自動車や工場が多量に排出した粉じんやガス、それらが化学反応を起こして生成されたPM2.5、花粉やダニ、カビの胞子、さらにウイルスや細菌なども含まれる。電力がなくなると、公共のインフラが機能しないために排水やゴミ処理が滞り、衛生環境が一層悪化する恐れがある。また、人類はエネルギーを得るために再び木や石炭などを燃やし始めるだろうが、その結果、煙やすす、有害ガスが増加し、空気をさらに汚してしまう可能性が高い。

そのため、感染症が広がりやすくなり、アレルギー症状を引き起こす物質も増え、人間の体調不良が続出するだろう。特に都市部では人口が密集しているだけに、環境悪化のスピードが加速することは想像に難くない。こうした状況のなかで、空気を何とか浄化し、少しでも健康被害を抑える仕組みは絶対に必要になる。つまり、この「空気清浄機進化論」は、人々が生き延びるための必然的な模索の物語とも言えるのだ。

 
電気仕掛けから自然仕掛けへ――空気清浄機再発明の導入

電力が使えない以上、従来のようにモーターを回してファンで空気を吸い込み、フィルターやイオン発生装置で浄化する方式は成り立たない。そこで考えられるのが、“自然の力”の活用である。大きく分けると、自然界の「風」「水」「光」「生き物」という4つの要素が鍵を握るだろう。

1. 風を使う
古代から人々は風車を利用して穀物を挽き、水車を回してきた。電力のない世界でも、風車の技術は大いに再評価されるだろう。この風車の回転を利用して空気を“押し流す”ような装置を作り、そこにフィルターを組み込むのだ。たとえば、室内の壁に大型の風車を設置し、外から取り込んだ風が部屋全体に行き渡るよう設計する。風の通り道に、竹炭や活性炭、布製フィルターを重ねておけば、空気中の埃や花粉、ある程度の有害物質を吸着できるかもしれない。

また、風を生み出すのは自然風だけとは限らない。人の手や足を使ったペダル式、あるいは重りを巻き上げるゼンマイ式など、いわば“人力発電”のような仕組みで風を作り出すことも検討される。余暇や運動をかねてペダルを踏めば、その回転エネルギーをファンに伝え、空気を循環させる構造だ。一見面倒に思えるが、健康づくりやコミュニティ形成の一環として取り組まれる可能性は十分ある。

2. 水を使う
水には汚れを洗い流す力がある。自然界において雨が埃や花粉を落とし、川が泥や微生物を運ぶように、水は空気中の物質を取り込む優れた性質を持つ。室内でも同様に、水を循環させることで塵や花粉を沈殿させる装置が考えられる。たとえば、大きなウォーターホイールを回しながら、その周辺に水膜を作るようにして空気を取り込み、浮遊物を捕まえるシステムだ。

このとき、汚れた水は沈殿やろ過を経て再び使えるように循環させる。砂利層や木炭、さらには植物の根などを利用した自然ろ過装置を組み合わせれば、大掛かりな設備がなくとも水を再生できる。さらに、滝のように水を落下させるだけで微小な霧が発生し、空気中の浮遊物を取り込みやすくする可能性もある。電気のない世界では、重力による落下エネルギーや水流の力を巧みに利用しなければならない。

3. 光を使う
電力を生み出す光発電は現代でも研究が進んでいたが、ここでは太陽光の殺菌作用や光触媒を活用する方法に注目する。代表的なものは、二酸化チタンなどの光触媒を用いて有害物質を分解する技術だ。従来は紫外線ランプを使っていたが、電気がなければ自然の太陽光を最大限に活用するしかない。建物の屋根や壁を透明素材にして光を取り込み、その光が光触媒塗料を塗った壁面に当たるようにすれば、空気中の有害物質を化学的に分解できるかもしれない。

ただし、太陽光の量や天候に左右されるため、夜間や日照の少ない地域では機能が限定される。そこで、手動式のランプや蓄光素材を使うなどの工夫が考えられる。技術の進歩というよりは、アナログな知恵の結集によって光触媒のポテンシャルを引き出すことになる。

4. 生き物を使う
最後に注目したいのが、植物や微生物の力だ。植物は光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を吐き出す。また、土壌や根の周りには多種多様な微生物が存在し、空気中の有害物質を吸着・分解してくれる。植物の葉自体にもホコリや化学物質を捕捉しやすい性質があることが知られており、「壁一面を緑で覆う垂直庭園」は空気清浄にとって非常に有効な仕組みとなり得る。

さらに、部屋の中に植物を配置するだけでなく、建物全体を「植物の生息空間」に変える構想もある。屋上や壁面、バルコニーなどあらゆる場所で植物を育てることで、都市そのものが巨大な“生きた空気清浄機”になっていくのだ。水の循環システムや風の通り道と融合すれば、効率的に空気を浄化しながら、人々の暮らしに潤いや美しさをもたらすこともできるだろう。

アーカイブ

空気清浄機のメーカー

SHARP
言わずと知れたプラズマクラスター空気清浄機
 
Panasonic
言わずと知れた日本を代表する家電メーカー
 
ダイキン
空気のことならお任せの、世界的メーカー